夕食が終わってから、M氏はパソコンでホームページ作りにとりかかった。ついつい熱中してしまい、気がつくと時計は12時を過ぎていた。M氏の家は静かな住宅街にあるが、近くを国道が通っていて、休みの日のこの時間になるとうるさいオートバイの音がよく聞こえてくることがある。今日も暴走族の連中が回転数をやたらに上げて、改造マフラー特有の耳障りな音を出しながら走っているのが聞こえてきた。

 エンジンの音の関係の仕事をしているM氏にとって、折角静かなマフラーをメーカーが開発してもユーザーが勝手に改造して音を大きくしてしまうのは、大変困ったことである。純正の部品を装着したオートバイは決して音が大きくないのに、世間一般ではオートバイは爆音を出して走るものという印象が強い。それはあの暴走族のオートバイが原因である。

 しかし、彼等はどうして高価な改造マフラーを買って、純正のマフラーと取り替えるのだろうか。性能アップのためだろうか、外観の問題だろうか、音の違いだろうか、などと布団の中で考えながらM氏はいつの間にか深い眠りに入ってしまった。



 M氏のある休日はこのように過ぎていきましたが、この話の中には様々な音が登場しましたね。すでにお気付きのように、これらの音は殆どが機械などの工業製品から出る音です。

 大別すると、信号音として意図的に出している音と機械の作動に伴って止むを得ず出る音があります。何れにしても私達の生活の中には工業製品の音が溢れていると言ってもよいでしょう。しかし、これらの音は音楽のように人に聞いてもらうことを目的としていないためか、あまりよい音ではないものが多いようです。

 このホームページではそのような工業製品の音のデザインについて述べていきます。

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