いよいよ音のデザインについて述べる章に至りました。音のデザインとは何かというと、目的に応じた音を適切にかつ具体的に作り上げることです。いろいろな分野で音のデザインが考えられると思いますが、ここではインダストリアルサウンドデザイン、すなわち工業製品の出す音のデザインに限定して話を進めたいと思います。
音質の評価技術と音質の改善技術は工業製品の音をよくするための推進力を生み出す車の両輪であることを前に述べましたが、この両輪だけではどちらへ進んでいくのかコントロールすることは難しいと思われます。そこで、右に行くのか、左に行くのか、真直ぐ進むのかをコントロールする役目を果たすのがインダストリアルサウンドデザイン（略してISD）です。この関係を絵で表すと下図のようにISDは三輪車の前輪に相当し、進んでいく方向を決める役割をします。
